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【翻訳】サイドプロジェクトから収益性のあるスタートアップに育てる方法(中編)

Feb 16, 2018

  • 個人開発論
  • 翻訳

この記事は、Pieter Levels(@levelsio)の「Turning side projects into profitable startups」という記事を、本人の許諾を得て翻訳・掲載しているものです。

※前編はこちら。

中編はスタートアップのプロセスの前半、「アイデア」「構築」「ローンチ」についてです。

もし翻訳に間違いなど見つけた方は、info\[at\]notsobad.jpまでご連絡ください。

目次

  • 目次
  • アイデア
  • ビルド(構築)
  • ローンチ

  • アイデア

    それでは、まずはアイデアから始めましょう。 みなさんは既にスタートアップやアプリのアイデアを持っていましたが、いいアイデアが多かったと思います。

    本当にひどいアイデアもよくありますが、そうなっている理由は、問題に集中していないからです。 新しいフードデリバリーアプリや、新しいファッションデリバリーアプリを作ろうという話を、よく聞きます。 けれど、それはあなたが本当に解決したいと思う問題ではありません。

    私のやり方は、自分の生活をよく見ること、そして自分が本当に困っていることが何かを考えることです。

    日常生活の中で、自分が何かできることや、あるいは欠けている情報など、何でもいいのです。

    Nomad Listのとき私は、自分が訪れるべき新しい都市を知りたかったのです。 Hoodmapsのとき、私は大都市の観光センターで途方に暮れていました。 「Fxxk、俺は本当の街を見てみたいんだ!」だからHoodmapsを作りました。

    私はいつも問題を見つけて、それを解決してきました。これが私のやり方なんだと思います。

    この方法がいいのは、解決したい問題を見つけたとき、あなたがその問題の専門家であることです。 専門家であることは、競争上の優位性になります。

    たとえばあなた庭師だったとしましょう。 あなたは庭師が花や植物などについて抱えている問題についてよく知っています。 他の庭師以外、一般の人は誰もそれを知りません。 あなたは、自分が競争力を持てるニッチな場所を手に入れるのです。

    問題は、私たちがみんなよく似ているということです。

    見てください、ここにいる人は多くがヒゲを生やし、髪を短くして両サイドを刈り上げています。 私と同じように。 つまり、私たちはみな同じ問題を抱えて、同じアイデアを考えつくようになります。

    そうすると、他の人とは違うようになりたいですよね。どうしますか?そう、何かクレイジーなことをやる必要があるのです。

    たとえばスカイダイビングしてみたり...

    ...または電話を持たずに6ヶ月ジャングルを冒険してみたり、もしくは別の何かオリジナルのことをやってみたり。

    やりましょう。新しいカルチャーを探すのです。

    尖ったカルチャーは、タブー視されている間はまだ誰もやっていないので、やはり競争上の優位性を得られます。 そこでビジネスやアプリのアイデア、サービスのアイデアを見つけることができるかもしれません。

    しかしオリジナルになる必要があります。 でなければ、あなたは他の誰かと同じことをしているだけで、それでお金を稼ぐことはできません。

    小さく始める

    大きな失敗を見ることも多いです。 アイデア出しの段階では大きなことを考えてしまうので、宇宙関連の会社を作りたい!などと始めてしまいがちです。 けどそれでは全然だめで、まだ何の実績もないあなたは、事業をうまく進めることができません。 非常に小さいところから始めないといけないのです。

    イーロン・マスクを見てください。 彼が最初に取り組んだのはPayPalで、それは旧式のスマホであるPalm Pilots用の支払いアプリでした。 PayPalは大きくなって、彼は多くの人と一緒に事業を売却し、最終的に20年経って、ついに宇宙の会社を始めています。

    だからゆっくり始めてください。 小さなものを作り、小さくてニッチな問題を解決してください。 いくらかのお金を稼ぎ、ニッチな市場で成長を続けるのです。

    Nomad Listはノマドにフォーカスしていましたが、今はもっと大きくしようとしています。 ノマド市場の約10倍から100倍の規模がある、旅行市場全体に広げていこうと思っているのです。

    大きく始めるのではなく、ニッチを成長させるのです。わかりますか?

    小さく始めましょう。その方がずっといいのです。

    それに、ニッチであることは本当にクールです。 例えばあなたが100ドルのプロダクトを持っているとしたら、100万ドル稼ぐために10,000人のユーザーしか必要ないのです。

    これに気づいたとき、私はショックを受けました。 計算間違いじゃないのか?間違いではありません、100万ドルです。 100万ドルを稼ぐためでも、そんなに多くのユーザーは必要ではないのです。 あ、(スライドを)写真に撮っても大丈夫ですよ。 必要なのは少数のニッチなユーザーです。 みんな写真撮りましたか?フラッシュはうまく効かなかったみたいですね(笑)

    アイデアリスト

    さて、アイデアリストを作るのもいい考えです。私も作りました。

    アイデアを思いつくたびに、リストに追加していきます。 どうしようもないアイデアばっかりになりますが、何でも構いません。 どれが有望そうで、どれが自分の中でずっと引っかかるかを見るのです。 そのうちどれかを作り始めるかもしれません。

    アイデアを残しておくのはいいことです。 WorkFlowyやTrelloなどを使ってください。 あとで必要になるかもしれないので、アイデアを書き留めておきましょう。

    私の場合、リモートワークに関するアイデアの多くは、実際に作り始めるより何ヶ月も前に思いついていました。 頭の中でアイデアが沸騰するまでには時間がかかるのです。

    ひとりでやる

    もうひとつ、ものすごく大事なアドバイスがあります。 そしてこれは、他のほとんどの人が言うことと矛盾したアドバイスです。

    自分ひとりでやってください。他の人と一緒にやらないでください。 あなたがビジネスサイドの人間でも、技術がわかる共同設立者は必要ありません。 プログラミングを学んでください。デザインも学んで、自分でやるのです。 基本的なことを全部自分でできると、時間を大幅に節約できます。

    そして「Group Think(グループ思考)」、これが非常に危険です。 2、3人でスタートアップを始めるようなケースで、私も経験しました。

    人は、お互いに褒め合う傾向があるのです。 「おお、このドッグフードデリバリーのアイデアは、世界のエコシステムを変えるぞ!」 残念ながら、そんなことはありません。 仲間内で褒め合っているだけです。

    もしあなたが一人であれば、この罠を避けられます。 なぜならほとんどの場合不安定な状況にいるので、より慎重になるからです。

    それに、一人でやるのもちょっと良いものです。あなたはより速く、よりよく進めることができます。

    アイデアを共有する

    多くの人が、「私はスタートアップで働いていますが、今はステルスなのでアイデアを教えることができません。他の人に盗まれてしまいますからね」と言います。

    大間違いです。誰もあなたのアイデアを盗もうとはしません。大事なのは実行することなのです。 結局のところ、みんなが同じようなアイデアを思いつくのですから。 実行することが、あなたのアイデアをオリジナルでユニークなものにします。

    なので、アイデアを共有するのは良いことです。 人と話すことで、実際にサービスを作る前に潜在的なユーザーと話すことができるからです。 どんどんアイデアをシェアしましょう。


    ビルド(構築)

    すでにアイデアがあったり、あるいは最終的にアイデアを手に入れたら、次は実際にプロダクトを構築します。 どうやって作りましょう?

    多くの人は、コードを学ぶためにcoding bootcampやcode academyのようなところに行く必要がある、と考えます。 私はオススメしません。 そういうところに行くと、数ヶ月から数年かかってしまいますし、うまくいくとも思えません。 ちょっと疑わしいですね。

    私は、独学でプログラミングを学ぶべきだと思います。

    自分でやる

    シンプルに「ウェブサイトの作り方」でググりましょう。 私はそうしました。 私の周りで成功した多くの人も、そうやってきました。

    プログラミングとビジネスで一番大事なことは、学び方自体を学ぶこと、どうやって物事を理解するかを学ぶことなのです。 それはとても実用的な知識であり、物事の進め方を知るということは、起業家にとって非常に非常に重要なことなのです。

    誰かに電話をかけて「なぁ、これはどうやってやるんだろう?」と聞いたり、本を探しに行ったりするのではなくて。 自分でやってください。 なぜかって?いまやすべての情報がインターネットにあるからです。

    答えはYouTubeにあります。Stack Overflowにあります。Googleにあります。 だから自分で簡単に見つけることができます。

    繰り返しますが、それが一番重要なスキルなのです。学び方を学ぶことです。

    それでもプログラミングしたくない

    もしあなたが本当に頑固で、「いやPieter、それでも私はプログラミングはやらないよ」と言うのなら、Typeformを使ってください。 Typeform.comは、フォームを作成できるサイトで、支払いを受け付けることもできます。 コーディングする必要もなく、フォームを使ってちょっとしたミニスタートアップを構築することもできます。

    このように、クレジットカード情報を入力して、実際に支払うこともできます。 Stripeなどで支払いを受けつけることができます。

    もうひとつクールなアプリを紹介しましょう。 Carrdというものです。 私の友人AJによって作られたサービスで、最高にクールです。

    このサービスを使うと、プログラミングなしで本当に高度なウェブサイトを作ることができます。 私はこのページを昨日作りました。

    荷物のピックアップサービスです。ほぼ何もせずにこんなページを作成することができました。

    もしユーザーが集荷希望をスケジュールに入れると、Zapierに送られます。 そしてAPIで連携して、実際に荷物がピックアップされます。

    実際に稼働しているわけではありませんが、やろうと思えばこういうことができるのです。

    私もそうです、最初はスプレッドシートから始めました。

    私はいいプログラマではありませんでした。 WordPressのテーマ多少作ることはできましたが、大したことはできません。

    だから必要なことは都度Googleで学びました。 何かを本当に学ぶ必要が出てきたときに、それを学んだのです。 問題が起こるたびにGoogleに行き、解決してきました。

    その状況で学ぶことから逃げていたら、自分のスタートアップが失敗していくのを見ているしかありません。 これはいい制約です。

    みんなにダサいサービスだと思われたくないから、必死になってボタンとロゴを整列させる方法を学びます。 これは学習のためのいい動機づけです。

    プロトタイプに時間をかけすぎない

    あるいはまた、何年も何ヶ月もかけてスタートアップを作ろうとしている人も見てきました。 「ええ、私たちはこのプロダクト開発を6ヶ月間やっています。まだ顧客はいませんが、デザインは完璧で美しいんです!」 これもダメです。

    プロトタイプの作成にかけるのは、最大1ヶ月までにしましょう。もちろんいいプロトタイプでないとだめですが。 ローンチしないと検証できないこともあるため、ここに時間を使いすぎてはいけません。 これは非常に重要なことです。


    ローンチ

    次はいよいよローンチ、大事なところです。

    無事にプロダクトを作ったら、実際にユーザーを獲得したいですよね。 これはすべてのスタートアップにとって最も重要なステップです。 なぜなら、そのプロダクトが本当に有用かどうか、収益化できるかどうかの検証になるからです。

    Product Hunt

    スタートアップをローンチするためのプラットフォームがあります。 Product Huntは、その中でももちろん最大の一つです。 約10,000人のユーザー、10,000人の訪問を得ることができます。 経験上、そのうち10%くらいがコンバージョンしてくれるかもしれません。

    Product Huntをうまく使うTipsは、プロダクト全体を本当にすばらしいものに見せることです。 アニメーションGIFも載せましょう。すばらしいキャッチコピーを作りましょう。

    友人に、あなたのスタートアップに最適なキャッチコピーについて聞いてみてください。 スタートアップのキャッチコピーの多くは誇大表現になっていて、私にはそれが実際何を意味するのか分かりません。 だからシンプルにしてください。Product Huntでうまくいくためには、それが非常に重要です。

    Product Huntはサンフランシスコのタイムゾーン、太平洋標準時(PST)で動いています。 つまり場合によっては、サンフランシスコ時間で真夜中まで起きて投稿する必要があるのです。 もしあなたが好きな時に、たとえばバリ時間で午後4時に投稿すると、サンフランシスコでは午後1時で、その日のProduct Huntでランキングに入るには少し遅すぎます。 ランキングで上位に入りたいなら、投稿時間は非常に重要です。

    またProduct Huntを利用するときは、積極的にコメントを活用してください。 みんなと会話をするのです。 マーケティングっぽくはしないでください。 正直に振る舞い、バグはすぐに修正すると伝え、フレンドリーにしましょう。 人間味を出してください。それが非常に重要です。

    Hacker News

    もうひとつ、Hacker Newsもあります。 これも非常に重要です。 ここのコメントが、あなたのスタートアップを丸ごと台無しにすることもありえます。

    ここでは、マーケティングっぽくしないことがさらに重要です。 できるだけフランクで誠実に、人間らしく振る舞うようにしてください。

    もしあなたがフードデリバリーアプリを作る場合、「フードデリバリーアプリを作ったよ」と書いて、それから何かユニークなことを言ってください。 投稿はオリジナルな内容で、かつフレンドリーにしましょう。

    スパムはだめです。お互いにいいねし合う、互助会みたいなこともしないでください。 まったく意味がありません。すぐにバレて、あなたの評価を下げるだけです。

    Reddit

    Redditは非常に、非常に巨大です。 先に出てきたHacker News、Product Huntの100倍くらい巨大です。 Redditはプロダクトローンチのプラットフォームとして、いま急速に主流になってきていると思います。

    Redditもまた、スパムが好きではありません。マーケティングが好きではありません。こうした投稿はすぐに削除されます。

    Redditについて重要なことは、subreddits(訳注:2chでいう「板」)に投稿するということです。 たとえばあなたが馬を管理するためのアプリを作っているなら、「r/horse」のsubredditに行って、フレンドリーに振る舞うのです。 「やぁ、馬管理アプリを作ってみたよ。よかったらフィードバックしてくれないかな」

    もし投稿がupvote(いいね)されてみんなに気に入られたら、トップページに掲載されるチャンスです。 私はこれを二度経験しました。Nomad Listのときと、Hoodmapsのときです。

    問題は、トップページや2〜3ページ目に載ると、アクセス過多でサーバが死ぬことです。 秒間何千人もの人がサイトを訪れるため、技術的な話をすると、ページを静的にしておくほうがいいでしょう。 PHPやJSの代わりに、純粋なHTMLで作成してください。静的にして、アクセスに耐えられるようにします。

    事前にテストもしておいてください。 なぜなら、サーバが遅いとほとんどの人がフロントページにも来てくれないからです。 しかしうまくやれば何十万人ものユーザーが来てくれます。40万人、もしかしたら50万人、クレイジーですね!

    ニッチな専門サイト

    そして、「Horse Forum」これがとても重要です(笑)。

    「このスライドは一体何なんだ?」と思ってますよね。違います、これが本当に重要なんです。

    たとえば馬の管理アプリを作成する場合、ニッチな市場に入っていくわけです。 そのニッチなマーケットに特化したウェブサイトを見つけましょう。 この場合は馬です。そしてそのニッチなサイトにあなたのプロダクトのことを投稿します。 そこから先は、さっきと同じです。人間味を出してください。

    ここにいるのは、最高のユーザーになる可能性のある人たちです。 なぜなら、あなたのアプリは彼らの生活にとても関係しているからです。 その人たちは厩舎を持っていたり、まぁ何でもいいのですが、あなたのアプリを必要としている人たちです。 だからそこに投稿しましょう。

    投稿先がボディビルディング掲示板のこともあるでしょう。あなたがボディビルディングアプリを作っているのなら。

    そしてこれはオートバイ用のsubredditです。バイクアプリを作れば、きっと評価されるでしょう。

    Q&A

    ローンチに関して何か質問はありますか?

    観衆:「新しいスタートアップを始めるときに、何かいつもやっていることはありますか?たとえば競合分析などはしているのでしょうか」

    いい質問ですね。競合分析をすることもあります。同じようなアプリが既に存在しているかを確認したり。

    ただ正直なところ、アプリがすでに存在しているからって、新しいアプリを出せないというわけではありません。 逆に、競合が存在しないところにアプリを出したけど、そもそも市場が存在しなかったということも多いです。

    だからよくあるのは、既に競合がいるけれど、大したことがなくてユーザーもいない、壊れていたりひどいことになっている、というケースです。 その場合は、ただそれよりいいものを作ればいいのです。

    私は何度もそうやってきました。競合はたくさんいて、以前は大きなサイトだったけれど、いまはもう使えなくなっていたり。 そうなれば話は簡単です。ただ彼らの立場を引き継ぐだけじゃなくて、より大きいトラフィックを得ることもできます。

    ただ私は少し傲慢なので、「俺ならこいつらよりうまくやれるぞ」と飛び込んでしまうことが多いです。時々、それで失敗するのですが。(笑)

    でもたいていは、10回のうち1回くらいはうまくいって、いいものを作ることができます。 だからちょっと傲慢に考えるくらいがうまくいくと思います。

    観衆:「やることがたくさんありますが、何かチェックリストのようなものはありますか?」

    チェックリストがあるか?私がローンチ時にやることのチェックリストですね。 私はProduct Huntに投稿し、Redditに投稿し、Hacker Newsに投稿します。全部同じ日です。 まとまったトラフィックが欲しいですからね。

    うまくいけばその日1日が、あなたのスタートアップのための日みたいになります。 みんながずっとそれについて話しているのです。これは指数関数のように巨大な効果があります。

    でもチェックリストというとちょっと、、そうですね。 ツイートして、Facebookでシェアして、それからさっきのサイトに投稿する。 うん、それだけですね。


    (後編に続く)

    後編は残りのプロセス、「グロース」「マネタイズ」「自動化」「Exit」について。 特にグロース・マネタイズの部分がおもしろいですよ!

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