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個人開発者の欲求5段階説

Jan 07, 2019

  • 意識低い
  • 個人開発論
  • ポエム
  • 言いたいだけ

以前に「死なないWebサービスの作り方」みたいな記事を書いたところ、ありがたいことに最近は個人開発の相談をいただいたりすることも出てきました。(おそれ多い!)

しかしすごく当たり前の話なんですが、個人開発者と言ってもステージはいろいろだし、そもそも目指すところが違ってたりもします。その前提によってアドバイスする内容も全然変わってくるなと。

自分が個人開発でいま何を目指していて、そのために何をするとよさそうなのか。 その辺りの会話の叩き台として、ざっくり整理してみようというのがこの記事の目的です。

半分以上タイトルを言いたかっただけなので、軽い気持ちで見てもらえたら幸いです。


前提と言い訳

みんな大好きマズローさん

みんな大好きマズローさんの欲求5段階説。あらゆるところで引用されまくってるのでもはや説明は不要ですね。

今回はWebサービス個人開発者の欲求を、マズローさんになぞらえて5段階で考えてみました。

完璧なピラミッドなんてものは存在しない

でここが超重要な前提なんですが、そもそも本家のマズロー理論だって当然完全なものではありません。 必ずあの順番で欲求が移っていくわけでもないし、各層の決め方だって(言ってしまえば)恣意的で検証できるものではありません。

それでもこの仮説が多くの人にとって納得感を持ち、議論の叩き台になるからこそ、このピラミッド画像を今でもあちこちで目にするわけですね。

この個人開発版ピラミッドも、もちろん反例や異論はいくらでも出ると思います。 思うのですが、まぁ確かに傾向としてはこういうルートを辿る人も多いよねー、くらいの気持ちで見てもらえるとよいのではないかと。

それでもどうしても納得できない、こっちの方が正しいぞという仮説があれば、ぜひあなただけの新しいピラミッドを作ってみてください(謎)。


個人開発者の欲求5段階ピラミッド

言い訳も終わったところで、本題の欲求ピラミッド個人開発者verです。

はい、こんな感じになりました。

何度でも言いますが、すごくおおまかな傾向として、こういう流れを経て個人開発に求めるものが変わっていく人が多いんじゃないかなーという仮説です。そうじゃない人もたくさんいることはご了承ください(しつこい)。

以下それぞれの内容と、各ステージで何をするとよさそうか、ざっくり見ていきたいと思います。

プログラミングの勉強を始めたばかりの新人エンジニアたかし君(仮)が、徐々に個人開発沼に沈んでいく様子を想像しながらお読みください。


【1】開発欲求:とにかく何か作りたい

ケーススタディ

独学でRailsチュートリアルを勉強したあと、自分でも何かWebサービスを作ってみようと週末にこつこつ個人開発を始めたたかし君。

あわよくば作ったのがバズって人気にならないかなーとか密かに思っているものの、実際はとにかく目の前の開発に必死で、またそれが楽しくてしょうがない時期です。

というわけで、これが一番ベースにある「開発欲求」。自分で動くものを作りたい、というWebエンジニアの原動力ですね。

この時期にやるとよいこと

個人開発道においては、この最初のサービスを作りきれず脱落してしまう人が一番多いと言われています(要出典)。 なのでまずはとにかく1つ作り切ることが、たぶんすごく大事です。

この論点については以下の記事がものすごく参考になるはずなので、ぜひ見てみてください。

メンテナンス性とか、ユーザビリティとか、スケールした時の心配とか、一切何にも気にしなくていいので、とにかく作って公開しよう。 きっと誰も使わないから大丈夫です😇


【2】利用欲求:人に使ってもらいたい、バズりたい

ケーススタディ

思ったよりガウディったけど、無事に初めてのサービスをリリースできたたかし君。 その後も2つ、3つと順調にサービスを作りました。やったね。

でも悲しいことに、すべてのサービスが日の目を見ることなく消えていきます。 最初はただ作ってるだけで楽しかったのに、だんだん誰からも使われないサービスを作り続けるのが辛くなってきました。

おめでとうございます!「利用欲求」、別名「バズ欲求」の時期に差し掛かったようです。 そりゃせっかく作ったんだから誰かに使ってもらいたいし、ほめられたいですよね。

(補足)バズ欲求は現代人の業

このバズ欲求は現代人の業のようなものなので、しょうがないところではあります。 なんですが、個人的にはあんまりこの欲求にとらわれない方がいいのかなーという気もしています。

作ったサービスがバズると強烈に気持ちいいし、ユーザーも増えるのでそりゃうれしいです。 でもバズってもマネタイズには関係ないことも多いし、バズって増えたユーザーは本来価値を提供するべき層とズレていたりってこともよくありますよね。

この時期にやるとよいこと

というわけで、この時期に本当に目指すべきは、(自分を含めて)ユーザーがちゃんと価値を感じて使ってくれるサービスを作ること、かなと思っています。

といってもユーザーヒアリングをしろというわけではなく、ちゃんと自分が使いたいサービスを作れれば、一定数は同じニーズのユーザーに刺さるはずです(個人開発ではこれが一番おすすめ)。

前の「開発欲求」の段階ではとにかく作ることが優先で、まだうまく作れない部分も多かったはず。 そのせいで自分も使わないようなサービスになっていたかもしれません。

なので次のステップとなるこのステージでは、ちゃんと自分が使いたいと思えるものを作ること。 その結果として他のユーザーにも使ってもらえるという経験をすることが大事なんじゃないかと。

そのために何をしたらいいかというと、やはりいっぱい作る is 正義(ゴリラ脳)。

技術的にも徐々に思い通りに作れるようになるし、ユーザーからの反応にもちょっとずつ手応えが出てくるはず(出るまで作り続けよう)。

一番苦しい時期かもしれませんが、楽しんでがんばるうほ🦍


【3】継続欲求:継続して使ってもらいたい

ケーススタディ

誰も使わないサービスをいくつか作ったあと、ついに初めてのプチバズを体験したたかし君。ここまで苦労した分、うれしさもひとしおです。

しかしサイトに来てくれたユーザーはみんな1回で飽きてしまったらしく、しばらくするとまた誰も来ない状態になってしまいました。。

一瞬で消費されるサービスじゃなくて、もっと長く使われるサービスを作ろうと決意したたかし君。 というわけで、次は「継続欲求」です。

この時期にやるとよいこと

この問題を意識低く解決する「死なないWebサービスの作り方」について、以前に以下の記事で整理してみましたので詳しくはそちらをご覧ください。 (もちろん実力のある人はもっと正攻法で攻めてください)

しかし記事にも書いてますが、これはあくまでサービスの即死を避けて成功率を上げるための方法論であり、これをやったから絶対成功するなんてものではありません。

各サービスの生存率を上げたうえで、いっぱい作って「これは!」と思えるサービスに出会えるまでがんばりましょう。

結局どのステージでも同じこと言ってる気がしてきたうほ。。🦍


【4】収益欲求:サービスから収益を上げたい

ケーススタディ

段々サービス開発にもこなれてきて、主力サービスの運営がついに1年を超えたたかし君。 もちろんニッチなジャンルではありますが、一定の層には刺さってずっと使われており、検索で継続的な新規流入も確保できています。

この時期になると、自分のサービスで食べていけるようになりたいという願望を、そろそろ真剣に考えてもいいんじゃないかという気がしてきました(会社もやめたいし)。

しかしまだ売上といえば、お小遣い程度の広告収入のみ。何とかサービスの収益化を考えなくてはいけません。 というわけで次が「収益欲求」です。

(補足)ごめんここから先はわからない

冒頭でもお断りしておりますが、この記事の著者自身がまだ自社サービスだけで食べていこうとチャレンジしてる途中であり、偉そうなことは何も言えない立場ですw

食べていくには足りないけど多少の売上は上げれるようになってきたので、その範囲でわかること、いま試行錯誤していることの範疇から書いていることをご了承ください。

この時期にやるとよいこと

という感じでいまわたし自身が痛感しているのは、ここまでの方法論で作ったサービスを後づけで収益化するのはけっこう難しいなと。

始めからマネタイズのポイントまで含めて設計して、明確に収益化を見据えてドメインの選定・サービスの設計をしないと、食べていけるレベルの売上に到達するのは難しそうです(めまいがするくらい当たり前のことしか言ってないw)。

というわけでオススメなのは、個人開発でちゃんと収益化まで達成している先人を探してお手本にすること。 とりあえずサービスを作ってから独自のマネタイズ方法を生み出すのは相当難易度が高いので、ちゃんと収益化できている事例を学び、そこから逆算でお金の匂いのするサービスを企画するとよいのではないかと。

以前にまとめた記事があるので、よければ参考にしてこのスーパーな人たちをフォローしてみてください(丸投げ)。


【5】自己実現欲求:サービスを通して社会貢献したい

ケーススタディ

法人向けのプランが売れ始め、念願の収益化を達成したたかし君。 初めて自分のサービスでお金を頂いたときの感激は忘れられません。

しかし、ある日ふと疑問がよぎります。 「仮にこのまま順調に伸びたとして、おれは一生このサービスを育てて生きていくんだろうか。。」

残念ながら答えはノーでした。たしかに自分もニーズを感じたから始めたサービスで、ユーザーも評価してくれています。 でもそれは、自分が人生を賭けるほどの情熱を持てることではありませんでした。

ただ使われる、お金になるというだけじゃなくて、自分が本当に情熱を持てるサービスで勝負したい。 というわけで最後のステージは、マズローさんと同じ「自己実現欲求」です。

Webサービス開発も、突き詰めれば人生そのものと同じなんだ…!(謎)

この時期にやるとよいこと

ここまで来たらもう一般論っぽいアドバイスなんてないですよね。 たのしい人生を送ってたのしいサービスを作りましょう。🦍

ひとつだけ挙げるとすると、同じように志を持ってサービス開発している仲間が周りにいると、刺激をもらえてよいかもしれません。

ピラミッドを登りきったような猛者たちがうようよいて、ほとばしる知見を惜しみなく共有してくれる夢のようなSlackグループです。 個人開発やっている人はぜひ参加してみてください。


【エピローグ】たかし君の挑戦は続く

というわけで、薄々気づかれていたでしょうがこのたかし君(仮)は、ほとんどわたし自身の話でした。

紆余曲折を死ぬほど経たあと、いまは昔からやりたかった読書系のサービスを運営しています。 青空文庫の小説を分割して、毎日ちょっとずつメールで送ってくれるサービスです。

ありがたいことに多くのユーザーに登録いただき、なかなかの継続率で利用いただいています。 今年こそ読書するぞって年始の目標にした方とか、ぜひ利用してみてください🐸

現在は機能追加した有料版を絶賛開発中で、マネタイズの挑戦はまだまだこれからというところ。 しかし自分でもかなり気に入っているサービスなので、たのしんで開発を続けていきたいと思います。

オレはようやく登り始めたばかりだからな。このはてしなく遠い個人開発坂をよ…!(完)


まとめ

長いうえにツッコみどころが多い内容でしたが、最後までお読みいただきありがとうございます。

個人開発者と話すのは大好きなので、こんなわたしでよければWebサービスの相談も大歓迎です!Twitterもやってますのでお気軽にどうぞ。

またDIYで自作したオフィスをサービス開発の勉強会とかにも開放する予定なので、興味ある人はぜひ遊びに来てくださーい。(初回はもう満席だ…)

今年もいっぱいWebサービス作りましょう! おしまい。

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